魔女の宅急便

 角野 栄子「魔女の宅急便」全6巻読了。

 いわずと知れたジブリのアニメ。ちょっと前に実写化もされましたね。しかし実は原作は児童向けの6冊の物語。実写化は原作をベースにしているはず(見てませんが)。

 アニメの方はキキの旅立ちから1年で終わってしまいますが、原作の方はだいたい1年1冊で5年と少し離れた1年を描いています。挿絵も年を経るにしたがって、キキが少女から大人の女性になっていくのが頼もしい感じです。

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▼第1巻より

 挿絵は第1巻が「はじめてのおつかい」の林明子、第2巻が広野多珂子、それ以降が佐竹美保。個人的には1巻の林さんの絵が好きですね。第4, 5巻のお年ごろのキキもかわいい!

 さて、その物語りのお話し。

 例えばキキがオソノさんに水着を借りて海水浴に行ったり、黒という色を否定してオシャレに決めてみたり、そうそう、アニメのラストの飛行船事件は全くないし、トンボ君が自転車こいで空をとぶこともありません。この辺は飛行機好きらしい宮崎監督の趣味かもしれませんね。

 絵かきのお姉さんも違った風ですし、オソノさんの息子も歩き回ります。そんな風景の中、やっぱり「お届けや」としてのキキのハラハラドキドキの大活躍!第1巻の時計の話が好きですね。

 アニメの方は2時間ちょっとという時間のために圧縮されているイメージありますね。しかし原作ではさすがの6冊といいますか、キキはじっくりと成長してきます。

 登場人物もなかなか魅力的。脳天気だったり、楽天的だったり、全体に「あっけらかん」としていて、1人1人が独立した人物として生き生きと描かれています。たまに嫌味を言うような人もいるけれど、極端な性格なので、何故か納得してしまう。これはこの世界観が柱として真ん中にしっかりたっているからでしょうかね。

 キキは色々な人に会い、様々な経験をして失敗もして、嬉しい事だったり悲しいことだったり、時には叫びたいような時もあったり。壁にぶつかって、涙をながしたり、現実の人付き合いで本当にいやあな気持ちになったりもします。

 それだけに、共感しながら読んでいくことができました(通勤電車で児童文学のを開くのは少しはずかしかったけれど。)第5巻の大団円でキキは大人の仲間入りまで。第6巻ではさらに成長をしたキキの苦悩や喜びを覗き見ることができます。

 児童文学という設定ではありますが、実際は大人向けだと思います。自分も呼んでいて、少女のキキだけに限らずジジのボヤキや芸術家の情熱の裏なんかがよくよく感じられました。

 また一味ちがった、本当のキキの物語でした。

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